バルセロナの真の強さは
先制に成功したバルセロナはその後、バジャドリーの反撃に遭った。しかし、前半と変わったのはマンマークに付かれていたブスケツの近くにイバン・ラキティッチがポジションを取ったことである。これにより選手間の距離はぐっと近くなり、パスが通りやすくなった。その分、右サイドには大きなスペースが空いてしまうのだが、メッシがそこに下がってパスを呼び込むなどしてカバー。メッシがいなくなった右サイド高い位置のスペースをスアレスが活用するなど、ピッチに立つ11人全員が常に味方の位置や状況を把握し、小さな変化にも柔軟に対応したのである。
後半終了間際にヘディング弾を叩き込まれたかに思えたが、オフサイドの判定でスコアに動きはなかった。試合はこのまま終了し、バルセロナはアウェイの地で貴重な勝ち点3を拾うとともに、2試合連続無失点で連勝を果たしたのだ。
この試合はバルセロナの真の強さを見たようにも思える。アウェイという難しい状況、それも数々の対策を施された中でのゲームだった。ビッグクラブの試練と言えばそうであり、とくにバルセロナに関してはこういった状況には慣れているだろう。
しかしピッチ上でのわずかな変化にもしっかり対応できる柔軟性、そして自分たちの強みである部分が消されても次のオプションで状況を一変させることができる個の力、それを結集させた共通意識。バルセロナの強さはこうした部分に隠されているのではないだろうか。
まだ2018/19シーズン開幕から2戦目。ここで大きな評価を下すのは早いが、バルセロナの強さは今季も健在であることは間違いない。アンドレス・イニエスタら黄金期を知るメンバーが次々とチームを去ってはいるが、その頃とはまた違った強さを持つバルセロナはまだまだ世界を魅了するはずだ。
(文:小澤祐作)
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