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日本代表 6年前

森保Jを救った大学生FW上田綺世。非凡なストライカーの才能、半端ないゴールへの執着と反骨心

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「大学生だから…」とは言わせない

 もう1つ、上田“らしい”こだわりがある。彼は「大学生だから…」と言われることを嫌う。あくまでプロの選手たちと同じ土俵で勝負し、プロに負けたくない、肩書きだけで判断されたくないという反骨心がある。

「プロの選手は普段からJリーガーと練習できますし、Jリーグでプレーしたりして、間違いなく自分のような大学生より絶対に成長できる環境があるだと思います。自分も早くその舞台に行きたいというのもありますけど、大学生で(代表の試合に)出るからこそという価値もあります。

自分がこうやって(代表に)参加させてもらっている以上は、グループリーグでは決められなかったので『プロとの違い』とか、『大学生だから』とか、言われるかもしれないですけど、そういう風に言われるのはすごく嫌で。絶対プロにも負けたくないですし、プロ以上の得点能力をもっと磨いて、2年後に臨みたい。誰よりもゴールを決めたいという思いは強いと思うので、そういうところで、むしろ大学生だからこそ、『プロより』と言われたいなと常に考えています」

 いまのU-21日本代表には、若干貪欲さに欠けるところがある。全体的に淡白で、見ている側からすれば「つまらない」と感じる試合も多い。その中で、上田の愚直にゴールに向かう姿勢や責任感の強さは異様にも映るが、これからも続く厳しい戦いの中で必ず重要な役割を担う場面がやってくる。森保監督も得点能力の高さだけでなく、プレーへの姿勢も含めて高く評価しているからこそ招集し続けているのだろう。

「(ライバル視したり意識している選手はいるか?)特に周りは見ていなくて、自分の結果、FWって結果で上がっていけるポジションですし、自分が結果を出さないと、周りを意識していても、自分の上ばかりを見ていて下に沈んでいることに気づかないのが嫌なので。常に自分を見て、自分の結果を残すことにこだわっていきたい」

 上田は東京五輪を大学4年生として迎える。日本には珍しい生まれながらのストライカーにとって、こらからの毎日が過酷な競争の中で生き残っていくための勝負になる。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

【了】

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