決勝トーナメントは空気が変わる
そこで選手たちに対して強調するのは、敗れたベトナム戦で課題に挙がった「球際」の部分。「五分五分の試合の中で、まずは球際のところを激しく厳しくいかなければいけない状況からサッカーをスタートさせる。そこで自分たちが攻撃でも守備でもいいところを出していけるように。結果がどうなるかはやってみないとわからないですけど、まだまだ若い選手たちなので、戦う姿勢とか、自分たちがチャレンジする姿勢、そういうところはスタートから出してほしいと思いますし、出せるように僕自身も監督として働きかけていきたい」と森保監督は語る。
序盤に失点して0-1で敗れたベトナム戦を「力負け」ではなく「力強さ負け」と表現した指揮官に呼応するように、教え子たちも大一番のマレーシア戦に向けて心を研ぎ澄ませている。
「ここから先は内容よりも結果が全てだと思うので、まずは内容より結果にこだわってやる中で、プラス内容がついてくればとてもいい遠征になるんじゃないかなと思います。個人としてもいいパフォーマンスを続けることで、ここで自信をつけられればチームに帰っても監督とかも見てくれていると思う。決勝トーナメントでは、マレーシアも生きるか死ぬかの戦いなので、球際はすごく激しくくると思うし、そういうところでも内容よりも結果が全てなので、何がなんでも勝てるようにいい準備をしたい」(松本)
「ウィングバックで出場するとしたら? やっぱり運動量が重要だと思います。守備の時は5バックになるような形でブロックを敷きますし、攻撃の時は高い位置に張るので、上下動が激しくなるし、最も運動量がなければいけないところ。運動量の部分ではこのチームの選手にも、対峙する相手にも負けたくないと思っていますし、攻守の切り替え、前に出ていく迫力、戻る迫力はもっともっと出していかないと、上に行けば行くほど難しくなっていくと思う。マレーシアは日本と同じ3バックで、前線に速い選手がいて、カウンターで裏に蹴ってくる。どこ相手でも自分たちらしく戦えれば、勝機は見えてくると思うので、そこを忘れずにやっていきたい」(長沼)
23日には、韓国がイランを下してベスト8入りを決めた。スコアこそ2-0だったが、試合終了とともにほとんどの選手がピッチに仰向けに倒れこむ、まさに死闘。決勝トーナメントは負けたら終わりの一発勝負で、どの国も目の色を変えて襲いかかってくる。韓国のキャプテン、ソン・フンミンも「僕たちはサッカー場ではなく、戦場に出てきている」と語るほどに。
マレーシア戦は東京五輪世代の日本代表にとって、指揮官の指導の成果と現在地を測るための重要な基準になる。50歳になった森保監督のバースデープレゼントに、最高の勝利を贈りたいところだ。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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