完全復活を遂げたダビド・ルイス
ダビド・ルイスも人が変わった。戦略・戦術をめぐり、コンテと対立した昨シーズンとは別人だ。「試合、トレーニングに臨む姿勢、ロッカールームの態度など、プロフェッショナルそのものだ」とサッリ監督が絶賛したように、キャプテンのセサル・アスピリクエタとともに、チームをまとめている。後方からのビルドアップでも貢献しており、完全復活を印象づけた。
補強は最低限に留まったものの、昨シーズンは構想外だったD・ルイスとバークリーが戻ってきた。貴重な新戦力といって差し支えない。
「高い位置でプレスをかけているときは問題ないが、自陣に進攻されたときの守りに問題がある」
3-2の勝利を収めたアーセナル戦(第2節)直後の記者会見で、サッリ監督は悔しそうに語っていた。わずか4分で2失点を喫した際には、ベンチから飛び出して不満を隠そうとしなかった。
37分の失点は左サイドの対応が甘かった。ペドロとバークリーのプレス強度が少しだけ緩く、自陣への侵入をあっさり許している。41分も同様だ。GKペトル・ツェフから始まったアーセナルのビルドアップは、決してスムーズではなかった。しかし、チェルシーは全体的に寄せが甘く、ボールに一度も触れないまま、アレックス・イウォビに同点ゴールを決められた。サッリ監督にすれば、防げたはずの失点、ということなのだろう。
ただ、くどいようだがサッリ体制はスタートしたばかりだ。組織を構築するまでには時間がかかる。まして守りは約束事が非常に多い。サッリ監督が望むレベルに到達するまでには試合数が必要で、指揮官本人も「少なくとも二ヶ月の猶予が必要」と語っていた。
試合中や記者会見の不満は露わにしているとはいえ、それは周囲の反応を探るひとつのパフォーマンスであり、開幕2連勝と結果もついてきているのだから、重箱の隅をつつくまでもないだろう。