もしレンタルに出なかったら…
インドネシアで開催されているアジア競技大会の男子サッカーには、U-21日本代表が参戦している。2年後の東京五輪を見据えたチーム作りの最中ではあるが、今大会はFIFAの公式戦カレンダーに含まれていないため、代表に選手を拘束する権利がない。
Jリーグも後半戦に入って各クラブが気の抜けない戦いを続けており、他にも幾つかの理由から選手の招集に多くの制約があった。例えば原則として1クラブから各1人ずつしか選考できず、欧州でプレーする選手はシーズン開幕の時期と重なるため招集は困難。さらに10月にAFC U-19選手権(来年のU-20ワールドカップ予選を兼ねる)を控えるU-19代表世代も招集できなかった。
そんな中でU-21日本代表の中核を担うのは、1997年生まれの選手たち。特に早生まれのメンバーが、リーダーシップをとってアジアの頂点を目指して戦っている。今大会で言えばGK小島亨介、DF板倉滉、MF三好康児の3人が最高学年ということになる。
チームキャプテンを任されたのは三好だった。10番を背負う小柄なアタッカーは腕章を巻いて出場したグループリーグ初戦のネパール戦後に「(キャプテンは)なかなかやることはなかったですけど、こういう立場でやらせてもらえるのは自分にとってすごくいい経験になるので、声を出すのはもちろんですけど、プレーでも示していきたい」と決意を語っていた。
そして板倉も、三好がスタメンから外れたグループリーグ第2戦のパキスタン戦でキャプテンマークを巻いた。2人はともに川崎フロンターレの下部組織出身で、小学5年生の頃から一緒のチームで育ってきた。だが、もし今季もフロンターレに残っていたらアジア大会で共に戦えていなかった可能性が高い。
昨季のJ1を制し、各ポジションに充実の戦力を揃えていたフロンターレで出場機会に恵まれなかった三好と板倉は、それぞれ今季から期限付き移籍での武者修行を決断した。三好は北海道コンサドーレ札幌へ、板倉はベガルタ仙台へ、東京五輪出場に向けてより多くの出番を得られる環境を求めて旅立った。