トーレスをPA内でフリーにしてはいけない
仙台戦の途中から出場すると、以降は6試合連続でスタメン出場してきたトーレス。マッシモ・フィッカデンティ監督からの期待が感じられ、トーレス自身もチームにフィットしようと懸命にプレーしてきた。なかなか結果には結びつかなかったが、今回のゴールで風向きは変わるのではないだろうか。
天皇杯での得点とはいえ、神戸もベストに近い陣容で臨んできた。ゴールを守ったのは韓国代表のキム・スンギュで、センターバックは渡部博文と大崎玲央のコンビだった。ルーカス・ポドルスキもピッチに立っており、イニエスタが出てきてからはクオリティが跳ね上がった。
そうしたチームに勝てたことは大きな意味がある。もちろん、トーレスにとってもそうだ。エル・ニーニョをボックス内でフリーにしてしまうと、対戦相手は痛い目に遭うことになるだろう。
今後も相手から厳しく監視されるはずだが、トーレスがそれを上回るためには味方の助けが必要になる。チームの特徴であるスピーディーな攻撃に、複数の選手が絡むことで厚みが増せば、背番号9の笑顔を見る機会も増えるのではないか。
J1で16位と低迷する鳥栖の得点数は、リーグワーストの『17』。この数字を伸ばす役割がトーレスには求められる。チームは今節、ホームでガンバ大阪と対戦する。天皇杯で得た流れを継続させ、残留争いのライバルを突き放したい。
ゴールの喜びを思い出したストライカーは、鳥栖を浮上させる切り札となる。
(文:青木務)
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