状況に応じた最適な戦い方を選ぶということ
グループリーグ初戦のネパール戦でも、極端な守備的戦術を採って厳しいマークをしてくる相手に対し、日本はきれいに崩そうとしすぎた。「真剣勝負」をどこかに忘れてきたかのように。実力差は明らかでも、試合になれば勝って当然ということはありえない。
サッカーでは何が起こってもおかしくないのだから、確実に勝利するために最善の手を、ピッチの中で導き出せるようになる必要がある。試合によってはとにかく激しく闘うことかもしれないし、パス回しにこだわらずシンプルなクロスを多用することかもしれない。戦い方は無限にある。
先ほどバスケットボールのフィリピン代表に「フリースローが少ない」と述べた。これは素人の推測に過ぎないが、中国代表選手に比べて平均して身長の低いフィリピン代表選手たちは、どうしてもゴール前の競り合いで劣勢を強いられてファウルが増えてしまう傾向にあったのではないだろうか。
そこでフィリピン代表が選択したのは、不利なゴール下で勝負するのではなく、外からの3ポイントシュートを増やして、1回の攻撃で奪う点数を増やすことだったように思う。彼らはクラークソンという優れたシュート能力を持った選手を最大限に生かし、アウトサイドからの攻撃に活路を見出して後半の逆転につなげていった。
何としてでも試合に勝つ気持ちを表現する「敢闘精神」や、状況に応じた臨機応変な戦い方を選択する「柔軟性」。バスケットボールを例にとったのは適切ではなかったかもしれないが、U-21日本代表がアジア大会優勝に向けて決勝トーナメントでこれまで以上の共闘を見せてくれることに期待したい。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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