香川が“原点回帰”できるポジションとは?
今夏のドルトムントは所属する選手が入れ替わっただけでなく、ディレイニーや香川真司といったW杯参加組は遅れて合流。そもそも選手間のコンディションにバラツキがある。ドイツ代表に招集されなかったマリオ・ゲッツェは、プレシーズンの当初から試合を重ねているが、ベルギー代表で3位決定戦まで戦ったヴィツェルは、移籍が成立して7日に合流したばかりで、12日のラツィオ戦で20分間プレーしただけだ。
ファブレ監督は、プレシーズンマッチでは主に[4-3-3]、[4-1-4-1]、または[4-2-3-1]といった布陣を用いてチームの熟成を図ってきた。今のところ、ボルシアMGを率いていた時代に愛用した[4-4-2]を徹底する様子はないが、会見では戦術バリエーションの必要性も語っている。特定のスタイルにこだわるのではなく、戦術面でさらに幅を持たせたいようだ。
このように未完成のチーム状態において、ファブレ新体制における香川の立ち位置は、まだ明確にはなっていない。プレシーズンでは、3日のレンヌ戦で64分から途中出場、7日のFCチューリッヒ戦で先発出場。[4-3-3]の布陣でインサイドハーフのポジションを務めている。この2試合だけで判断するのは難しいが、役割としては、トーマス・トゥヘル体制以降に担ってきたものとさほど変わらないようである。
仮にこれからファブレ監督が[4-4-2]も重用し、ボルシアMGでラファエルが担ったセカンドトップのポジションを任されるようなことがあれば、面白そうだ。香川にとっては、一つの挑戦であると同時に、ある種の原点回帰にもなるだろう。ロシアW杯を終えて口にした課題、“個で局面を打開する力”を磨くことにも繋がるはずだ。
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