ゲームメイクで違いを生み出した
スコアレスで迎えた37分、新加入の長沢駿が頭で落とすと、三田啓貴が抜け目ない動きと個人技からネットを揺らした。後半にも1点を追加したヴィッセル神戸が湘南ベルマーレに勝利。先制点の場面で長身FWの頭にピンポイントのボールを送ったのが、アンドレス・イニエスタだ。この日、元スペイン代表はフィニッシュの数手前で存在感を発揮している。
7月22日にノエビアスタジアム神戸で行われたホームでの第17節・湘南戦、イニエスタはJリーグデビューを果たした。この時はビハインドの状況で後半途中からピッチに立つと、約36分間で見せ場を作っている。特にアタッキングサードで違いを生み出しており、今後もフィニッシュに関わるシーンが増えるだろうと予想された。
実際、スペインへの一時帰国から再合流して迎えた第21節・ジュビロ磐田戦では、芸術的なターンから相手を無力化し、初ゴールを記録。続くサンフレッチェ広島戦でも強烈なミドルシュートを突き刺し、2試合連続ゴールとした。フィニッシャーとしても一流ということを証明する結果となったが、この日の湘南戦ではまた違った姿を披露している。
ロングボールを織り交ぜながら前に出てこようとする相手に対し、神戸は様子をうかがう。スタメンや人の配置に変化があったことでチームとしてアジャストしているようだった。そして、少しずつ神戸がギアを上げていく。その中で、イニエスタは主にゲームメイクを担っていった。
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