カンボジア代表監督就任は「少し奇妙」
最後に「カンボジア問題」。世論は、まずは“Let’s wait and see what he can do”(まぁ、まずは、実際にどう彼が兼任していくのかを様子見ましょうよ)的な見解が主流だが、今回話を聞いたエキスパート達からは、本田の前代未聞の挑戦に対して少々懐疑的なスタンスが感じられた。
スティール氏は、自らのカンボジアでのコーチング経験も踏まえて「記者会見で明かされたごく限られた情報だけで判断するのは非常に難しい。どの程度の関わりをカンボジア側と持つのかもはっきりしない。現時点では彼のクラブ(メルボルン・ビクトリー)にとってはポジティブな影響が出ているが、果たして、それが交渉の段階で話していたものといつまで同じレベルのものでいられるのかも分からない。本田サイドやカンボジア協会がこの問題に対しての説明責任を果たしてくれると期待したい」との気持ちを吐露した。
“選手”としてまだやれると思うがゆえに、今回の決定を残念に思っているのがタッカーマン氏だ.。「 正直言って、少し奇妙なことだと思う。一言で言えば、選手としてのキャリアに完全に集中できないと言ったわけだから、メルボルン・ビクトリーもその話を持ち出されたときは驚いたんじゃないか。さらに、もしテレビ会議だけでカンボジア代表監督が務まるのならば、2つのこの異なる仕事をどのように上手くこなすのかのイメージは湧かない。理想を言えば、本田はAリーグのマーキー・“プレーヤー”であるべき」と話す。
本田圭佑の豪州デビューは、最速で21日。Aリーグの開幕まで10月19日と2ヶ月を切った。カンボジア代表の実質的な監督として指揮を執る初戦は、9月10日にカンボジアのホームで行われるマレーシア戦と予想されている。もう、これは繰り返しになるが、現地のファンと同じように“Let’s wait and see “でいくしかないようだ。
(取材・文:植松久隆)
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