「デル・ピエロ以来ではAリーグ最高の補強」
最初に本田が豪州にやってくることへの全般的な感想を問うた。その答えは、その感じ方の若干の温度差はあれど、予想通り「歓迎」一色。
自身が熱心なメルボルン・ビクトリーのサポーターでもある豪州有数のアジアサッカー通ライターのポール・ウィリアムズ氏の回答は「ビクトリー、そして、アジアサッカーの大ファンとして『夢がかなった』気分。これまで度々、本田の獲得をAリーグのクラブに促したりしてきたけども、正直それが現実となる日が来るとは思ってもいなかった」と熱烈な歓迎の言葉が並んでいた。
「ビクトリーファンならば、喜んで当然」という人もいるだろうし、他の回答も紹介しておく。日本で数年暮らした経験もありJリーグ通として知られるコラムニストのマイク・タッカーマン氏も、「間違いなくデル・ピエロ以来ではAリーグ最高の補強」と答え、今最もアクティブなフットボール・ジャーナリストの1人でもある『AFP通信』のヴィンス・ルガリ記者も「デル・ピエロと同等とは言えないが、現時点のAリーグが望みうる最高の人選」と語った。いずれも比較の対象として、同胞の小野伸二ではなく、2012年から2014年にかけてシドニーFCでプレーしたアレッサンドロ・デル・ピエロの名前を出したことも興味深い。
では、本田にいったい何を期待するのか。漠然とした質問ながら、最もボリュームのある回答が戻ってきたのはこの問いだった。
ルガリ氏は「本田の参戦で観客動員や視聴率にどんな影響が出るか楽しみ。フットボールをある程度知る人は、スタジアムに足を運ぶかテレビ観戦のいずれかでも彼が何をやってのけるかを観たいと思うはず」と目に見えた形でのリーグへの貢献が表れると期待する。
ウィリアムズ氏は「豪州は、サッカー界も含めて、これまで少しアジアとのかかわりを軽視するところがあった、ときには変な優越感を持ったり。今回、リーグの顔として日本人選手である本田を打ち出すことは、Aリーグの非常に意義深い進歩の象徴となる」と、サッカー界だけに留まらない好影響が起きる可能性を示唆する。
最後にご登場を願った、熱狂的な浦和レッズサポーターでもあり、カンボジアを始めとしたアジアでのコーチングを経験してきたライアン・スティール氏は、「本田はアジアでその輝かしいキャリアによって高い名声を得ている最も知名度の高い選手。その彼がAリーグに来るとなれば、クラブやFFAは日本を始めとしたアジア各地のファンと緊密な関係を築き、マーケティング面での恩恵を得るチャンスがある」と経済的波及効果まで踏み込んで語った。