森保ジャパンで生き残るために必要なこと
森保ジャパンの3バックであれば、サイドには両ウィングバックが1人ずついるだけで、4バックに比べてそのポジションの責任は大きくなる。タッチライン際の高い位置に張っていることで、ボランチやシャドーの飛び出しを促し、3バックの左右のストッパーの攻め上がりも助けることができる。
さらに相手の目線がウィングバック以外の選手に向けば、サイドから縦に仕掛けてクロス、あるいは中に切り込んでシュートやラストパスに持ち込める。このようないくつかのパターンを状況に応じて使い分けることが求められる。
遠藤はパキスタン戦の4点目の場面を挙げ、「なかなか試合を通して自分が仕掛けるチャンスが少ないなと思っていたので、その分ああいうチャンス(ゴールに繋がったボール奪取から深い位置へのドリブルでのカットイン、そしてクロス)になったときの力が余っていたので、そこはやっぱり中にどんどんえぐっていけた」と説明した。
他にもオフサイドにこそなったが、逆サイドへのスルーパスで局面を一気に変えるようなプレーや、単純な縦への突破から左足クロスなど、常にマークにつかれている中でも、できる限りのことはした。「ポジショニングがなかなか定まらないこととかもある」と代表でしか経験のないウィングバックはまだまだ試行錯誤の段階だが、持ち前の適応力で徐々にものにしつつある。
19日に迎えるのは、グループを1位で突破するか、2位で突破するかをかけた、ベトナムとの一戦。1月のAFC U-23選手権で準優勝した強豪との戦いの中でも、意識するのは「力の使いどころ、パワーをどこまで残しておいて、攻撃のときにもしっかりパワーを出せるかの使い分け」になる。
そして「自分がボールを受けるようなシチュエーションがあるんだったら、僕は全部仕掛けるつもりでいくし、それが自分のポジションの役割かなと思っているので、何らかドリブルやクロスをしっかり上げきることが効果的」と力強く語る。
森保監督の戦術において、ウィングバックの貢献度はチームの出来を左右する。日本に対して守備的に戦ってくるチームが多いアジアにおいて、常に高い位置をとりながら、マークを振り切っていかにチャンスを作り出せるか。そして守備でも綻びを作らないような働きを見せられるか。
東京五輪出場を目指すサバイバルの中で、アジアのトップレベルを相手にしっかりと自分の持ち味を出しながら、臨機応変で多彩なチームへの貢献がどのポジションでも生き残りのカギになる。まだ森保ジャパンに定着したとは言えない遠藤にとっても、ウィングバックの定位置を掴むために逃せない大暴れのチャンスが、まさに今だ。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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