キャリア最高の1年でも「悔しさ」が先行
今季はプロになって初めて開幕スタメンという大役を任され、横浜F・マリノスの一員としてJ1リーグ戦で19試合に出場。自ら志願して背番号も「11」に変え、遠藤渓太はキャリア最高の1年を過ごしているように見える。
だが、多くのチャンスをもらっている反面、悔しい思いをすることも増えた。最たる例が今年5月末から6月上旬にかけて行われた、トゥーロン国際大会に向けたU-21日本代表に落選したことだった。結果的には負傷者が出た影響で追加招集されるのだが、「1月、3月とずっと呼ばれていたのに、今回選ばれなかったのは本当に悔しい」と厳しい表情で話していたのをよく覚えている。
遠藤が森保一監督率いるU-21日本代表に初めて招集されたのは、1月に中国で行われたAFC U-23選手権だった。その後、3月のパラグアイ遠征にも帯同。クラブでも主力としてプレーする中で、シーズン序盤に結果が伴わずプレーに迷いが出て調子を落とした時期もあったが、継続して試合に絡めていたことで自信を深めてトゥーロン国際大会に臨むはずだった。
やはりトゥーロン国際大会では、追加招集ということもあってグループリーグの3試合は全て途中出場。スタメンでプレーしたのは7位・8位決定戦のトーゴ戦のみだった。帰国した遠藤は「3試合でスタメンで使ってもらえなかったということは、自分に何らかの問題があったと思う。今回はシャドーで出るかウィングバックで出るか、曖昧なところがあったので、本当にどちらかで代表のスタメンを確保できるようにならないとダメだし、悔しかったですね」と、起用法も定まらなかったことに無念さをにじませていた。
継続的に招集こそされているものの、「自分はまだまだ代表に定着していないですし、1日1日を大切にしないと残っていけない」という思いは強い。悔しさばかりが残ったフランスでの戦いを終えて帰国した遠藤は、J1の中断明けから4試合連続で先発出場。これまで以上に気迫のこもったプレーを披露し、アジア大会への切符を掴み取った。
「トゥーロンは途中から呼ばれましたけど、そこから次の代表に呼ばれたことに意味があると思うし、自分が(マリノスの)キャンプから、たくさんいい選手がいる中で競争に勝って出場機会を得られたから代表に呼ばれていると思う。その分、アジア大会でしっかり暴れたいし、本当にこの代表で結果を残したい」