CR7加入でも「チームカラーは変わらない」
その一方で、マンジュキッチをCFに置き、ロナウドを左ウイングとして1対1で仕掛けさせた後半には、よりシンプルな形で多くのチャンスを作ることができたのも事実。ただどちらの戦術が優れているという話でもないようで、「試合の流れの中ではそうやって局面を打開する時間帯もある、ということ」とアッレグリは語っていた。
ロナウドをサイドに置くと、守備ではリスクを抱える形になる。一度左サイドでカウンターを食らった時、マンジュキッチがロナウドを追い越してカバーへと戻るシーンがあった。またその間アッレグリ監督は、右サイド投入されたフェデリコ・ベルナルデスキの位置を細かく調整して、守備のバランスを取らせようと腐心もしていた。
ともかく指揮官の頭の中には、様々な形でストライカーとしてのロナウドを活かそうという意図がある。そしてそのロナウドの姿勢について「純真な姿勢でチームに溶け込んで行くのには感銘を受けた」と好意的に評価していた。「彼の加入でも(最後まで諦めない、という)チームカラーは変わらないよ」とアレックス・サンドロは語っていたが、キエーボ戦のような展開はそれを味わせるに最良の形だろう。
ロナウドが来たことで、相手チームも対策を凝らすようになる。この日ナポリと接戦を演じたラツィオのシモーネ・インザーギ監督も、次節に向け研究を尽くしてくることだろう。それを凌駕するべく、ユーベはCR7をどう使いこなすのか。今シーズンのセリエA、面白いものになりそうだ。
(文:神尾光臣【イタリア】)
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