時代に流されぬスタイル
現代サッカーにおいてポゼッション率の高さは勝利に直結しない。昨季のチャンピオンズリーグ(CL)でレアル・マドリーとリバプールが決勝に残り、ロシアワールドカップでもポゼッションを重んじるスペインとドイツが早々に敗退したりと、今ではカウンタースタイルが主流になりつつあるのだ。
だがマウリツィオ・サッリという男は違う。自分たちでボールを支配しながら着実にゴールへ迫る形を好んでいる。それは、プレミアリーグ第2節、対アーセナルとのビックロンドンダービーでも存分に発揮された。
開幕戦を3-0でものにしたチェルシーは、今節も同じ先発メンバーで試合に臨んだ。対するアーセナルは手薄になっていた左サイドバックにナチョ・モンレアルが復帰。さらにアレックス・イウォビが先発に名を連ねた。
試合開始からチェルシーはボールを支配し、アーセナルのDF陣の隙を伺っていた。チェルシーの選手たちは、相手のSBとCBの間になだれ込むような形で背後のスペースを狙った。そこに1本の長いパスを送り、よりゴールに近いエリアでプレーさせチャンスを作ったのである。
そして前半9分にペドロ・ロドリゲスが先制ゴールを奪う。さらに20分にはセサル・アスピリクエタの1本の長いパスをアルバロ・モラタが収め、シュコドラン・ムスタフィを振り切ってゴールへ流し込んだ。
早い時間で2-0としたチェルシーだったが、その後はアーセナルに押し込まれる苦しい時間が続いた。その勢いに圧倒され、37分にヘンリク・ムヒタリアン、41分にイウォビのゴールであっという間に同点とされてしまった。