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アジア 6年前

アジア大会で再起図るパキスタン代表。監督は日本でも指導、失った3年間を取り戻すために

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki

パキスタンフットボール発展のために

 ノゲイラ監督はパキスタン代表監督就任に寄せて、PFFの公式インスタグラムからビデオでメッセージを発信した。その中で「パキスタンをアジアでも強豪チームにしたい」という目標を掲げた。ブラジルからやってきた新たな指揮官の意気込みに、選手たちも間違いなく影響を受けている。

 アジア大会でキャプテンマークを巻く25歳のフセインは「僕らは本当に若いチームだ。日本のフットボールのレベルは非常に高い。一方でパキスタンのフットボールは3年間止まってしまっていた。代表チームが再開してから2試合目の公式戦だった。最初の試合がベトナム戦、次が日本戦だったんだよ。監督やテクニカルスタッフが日本戦に向けて多くのことを教えてくれた。ノゲイラ監督は本当にたくさんの仕事をしてくれて、素晴らしい指導者だと思う」と語る。

 パキスタンにおいて最も人気があるスポーツはクリケットで、サッカーは決してメジャーとは言えない。今月17日には、クリケットの元スター選手であるイムラン・カーン氏がパキスタンの新首相に就任する見込み、というニュースも流れた。

 ノゲイラ監督は「私がパキスタンに到着した時、代表チームがなかった」と嘆くほどの不毛の土地で、おそらく指導者キャリアで最も困難な挑戦になるだろう。それでも3年という長期契約からも分かる通り、長期的な視点に立ってフットボール界の発展に身を捧げていくつもりだ。

「パキスタンにとって現状の最も大きな目標は、A代表が出場する来月のSAFFスズキカップになる。もし順調にいけば、3〜4年後にはアジアカップに出られるレベルになる可能性もあると思っている。まずは一歩一歩進んでいかなければならない。アジア大会のチームには2000年代生まれの、17歳や18歳の選手が3人いて、まだ非常に若い。彼らにとって必要なのは、第一に日々の経験だ。毎日のトレーニングが重要で、強いクラブや、レベルの高い大会に挑戦することも必要になってくる」

 パキスタンフットボール界のために。ノゲイラ監督は、限られた機会を最大限に生かすためにプランを練っている。それは約25年前の、日本での経験も生かされるかもしれない。再起をかけたパキスタン代表の挑戦は始まったばかりだ。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

【了】

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