監督はJリーグ黎明期を知るブラジル人
試合前から日本が圧倒的な優位と予想されていたが、パキスタンの「若いチーム」にとっては非常に重要な経験になったに違いない。キルギスタンや北キプロスと国外でのプレー経験を持ち、オーバーエイジ枠でアジア大会に参加している主将のサッダーム・フセインは、日本との戦いを終えて力の差を実感しているようだった。
「日本は本当に強かった。僕たちは日本からたくさんのことを学んだ。モダンフットボールという感じだった。本当に速く、俊敏で、哲学があり、タッチも細かく、パキスタンとは全く違うスタイルのサッカー。日本はアジアでも特別なスタイルを持ったチームだと思う。僕にとっても日本と対戦するのは初めてで、力を発揮する最大のチャンス、人生最高の経験だった。
日本のフットボールは素早く、技術があり、ボールを持っていても、持っていなくても動きはアイディアに溢れていた。僕たちは今日の日本の試合から学んでいる。もっと成長して、日本のようなチームに追いつけるよう頑張っていきたい。将来的に、日本からもっと学べることはあると思う」
3年という空白期間を経て、再び歩み出したパキスタンサッカーが発展していくにあたって、「日本」というのは意外にも重要なキーワードになるかもしれない。実はノゲイラ監督、1994年から1996年に日本での指導経験を持っている。
「私は名古屋の近く、瀬戸市に3年間住んでいた。日本のフットボールはプロフェッショナルになったばかりだった。1994年から1996年にかけてのことだ。私は名古屋学院大学を率いて東海リーグや愛知県でチャンピオンになった。名古屋の若いチームで良い仕事をしたと思う」
記者会見で楽しそうに当時の思い出話を語るノゲイラ監督の口からは、「読売ヴェルディ」「日本でとても有名なバプティスタ監督(ネルシーニョ監督のこと)」といった言葉も出てきた。指導者として駆け出しだった頃に過ごした日本で目の当たりにした、「フットボールがプロフェッショナルになる」過程は、パキスタンサッカーの今後に活かされていくのかもしれない。
「今の日本は当時よりももっと強くなった。U-19、U-20、U-21とベースができている。日本のフットボールはプロフェッショナルだ。私は自信を持って、日本がアジアだけでなく世界でもトップ20に入るチームだということができる。その過程の一部に関われたことを本当に幸せに思っている。私にとっても素晴らしい経験だった」