次なる壁はアジア準優勝の難敵ベトナム
そしてもう1つの課題は、ボールを保持して相手を押し込んだ状態からどのようにゴールを奪うのか、という点である。パキスタン戦の4つのゴールの内訳は、最終ラインからのロングパスを起点にしたものが2つ、守備から攻撃への切り替えから一気にゴールを襲ったものが2つだった。
ボール支配率67%と、終始主導権を握りながら試合を進められていただけに、自分たちの意図した通りにパスを回せている展開から、しっかりと崩しきるオプションを用意する必要があるだろう。もちろんクロスやロングボールからシンプルにゴールを奪えることも重要だが、ボールポゼッションから得点できなければ、森保監督がイメージしているチームの完成形に近づくことはできない。
次は19日、グループリーグ最終戦で同じく2連勝のベトナムとグループ首位の座をかけて激突する。日本とベトナムはこの2試合で勝ち点、得失点差、総得点、総失点いずれでも並んでおり、直接対決の結果がそのままグループ内の順位に反映される。
このグループDで首位になれば、決勝トーナメント1回戦の対戦相手はグループB、E、Fの3位チームのいずれかになる。もしグループDを2位で突破すると、次の相手はグループEの首位チーム。つまり宿敵・韓国が濃厚になる。
ソン・フンミンやファン・ウィジョらオーバーエイジ枠の選手、イ・スンウ、ファン・ヒチャンといった海外組も惜しみなく起用している韓国は、今大会の優勝候補筆頭。日本にとってグループDを1位で抜けるか、2位で抜けるか、どちらが優勝への近道かは明白だろう。
もちろんベトナムは全く気の抜けない相手に違いない。今年1月に中国で開催されたAFC U-23選手権でアジアの準優勝に輝いたチームがベースで、黄金世代と呼ばれる選手たちが揃っている。日本対パキスタンの後に行われたネパール戦は、一部の主力を温存しながらも盤石の戦いで2-0の勝利を収めていた。
森保監督もパキスタン戦後の記者会見で「我々も一戦一戦勝利を重ねていきたいので、次の試合も勝ち点3を目指して最善の準備をしていきたい」と語っていた。ベトナム戦がここまでで最も厳しい戦いになることは避けられない。
試合に向けて戦術の擦り合わせの時間を取ることができ、ここまでの2試合で残されたままの課題を克服する大きなチャンス。決勝トーナメント進出が決まった今、ベトナム戦こそが東京五輪世代のアジアでの立ち位置を確かめる、最初の関門となる。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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