パキスタン戦で浮き彫りになった成果と課題
岩崎は自らの得点シーンを振り返り「(岡崎)慎と、1戦目のベンチでアップしながら喋っていて、その時に『もう少し簡単に背後を狙っても良いんじゃないかな』と話していたので、それが今日こういう形で現れて、すごく良かった」と、狙い通りの一発だったことを明かした。
一方の岡崎も、岩崎との会話が頭にあった状態で「本当に最初の1プレーで岩崎選手と目が合って」ロングパスを決断したという。「シンプルでも裏に入れたりクロスを入れるだけで相手の視点が変わる」という狙いのもとで生まれたプレーだった。
実はこの「3バックの左右からロングボールを入れる」プレーについて、ネパール戦直後に原輝綺も必要性を訴えていた。「3バックの左右が高い位置をとった時に、そこからクロスだったりというイメージを、少し前の人とも話し合って、次からうまく使っていきたい」と述べていたが、ネパール戦で実際にピッチに立っていた選手と、そうでない選手たちの意識をしっかりと共有できていたことが、パキスタン戦から透けて見えてきた。
9分に生まれた旗手のゴールも、シチュエーションこそ違えど、3バックの左に入っていた大南拓磨の浮き球のパスが相手最終ラインのバランスを崩した。アジアで実力差のある相手の場合、チーム全体が押し込んだ状態でほとんどプレッシャーを受けることなくボールを扱える3バックの選手たちを起点にしたシンプルなプレーは、今後も意識していくべきだろう。
ただ、4ゴールを奪っても若き森保ジャパンに課題は山ほど残っている。1つは後半の持続性だろう。パキスタン戦は前半だけで4点という大量リードを手にする展開で、後半もゴール量産に期待がかかったが、結局さらなる追加点は生まれなかった。
2連敗濃厚となって集中の切れたパキスタンが、最終戦のネパール戦の結果でグループ3位に入るため、できるだけ得失点差を少なくしようと、頻繁にプレーを切ろうとしてきた。3点目が決まった開始10分の頃から後半にかけて、日本の選手に対する危険なタックルや、痛んでピッチに倒れこむシーンが増えてきたのである。
それによって日本の選手たちの集中力も散漫になってきてしまった。岩崎は「(後半は)チームとして勢いがなくなったのもありますし、試合が切れる時間帯が多くて、集中力が下がった。そこはチーム全員で声を掛け合ってやっていかなければいけない。ベンチからも森保さんから『もう1回集中していこう』という声が何度もあったので、そこは選手同士でもやっていかないといけないと思います」と説いている。やはり前半10本だったシュートが、後半は2本に減ってしまったのはもったいなかった。