イニエスタが示す進むべきルート
試合はそのままドローに終わったが、2戦連続で先発フル出場したイニエスタのコンディションはどんどん上がってきている。一流は一流を知るとばかりに、復活したポドルスキも「ピッチをすごく恋しく思っていた。最高の形で戻って来られた」とイニエスタとの共演に無邪気な笑顔を弾けさせた。
敵地でサンフレッチェと対戦した5月6日は、攻守両面で圧倒された末に0‐2で敗れた。しかし、雨に打たれたエディオンスタジアム広島のピッチにいなかったポドルスキ、そしてイニエスタの存在に藤田も言葉を弾ませる。
「彼らは日本人ならパスを出さないようなテンポやタイミングでプレーできるし、ボールを失いそうな場面でもキープできる。相手は彼らのところにいかなきゃいけなくなるし、その分、他の選手のところが間違いなく空いてくる。少しずつですけど相手にずれが生じるのは、彼らの影響力だと思う」
目標のひとつである、来シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権獲得へ。4位をキープしたヴィッセルは、歴代の最高位である2016シーズンの7位を大きく超えていく今後の航海へ向けて、進むべきルートを明確に示してくれる、世界基準の羅針盤を手に入れつつある。
(取材・文:藤江直人)
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