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Jリーグ 6年前

イニエスタがもたらす絶大な影響力。選手たちが語る真実、神戸が手に入れた世界基準の羅針盤

text by 藤江直人 photo by Getty Images

稀代のプレーメーカーがゴールゲッターに

ヴィッセル神戸
イニエスタとポドルスキの共演には「緊張した」と郷家は話す【写真:Getty Images】

 ポドルスキが何度か放った、豪快なサイドチェンジのパスの受け手にもなった古橋が表情を輝かせる。一方でイニエスタとポドルスキの初共演に「ちょっと緊張しちゃいました」と苦笑いした郷家も、ボランチにインサイドハーフ、ウイングとさまざまなポジションで2人に絡んでいきたいと力を込める。

「これといった得意なポジションを作らず、どこでもできる選手にならないと上には行けないと思っているので。イニエスタが入って前を向く回数がすごく増えたというか、そういう意識は自分のなかで変わってきていると思います。これが世界のレベルなんだ、というプレーを間近で見られたし、2人と一緒にできることは僕が成長していくうえで、ものすごく必要なことだと思っています」

 首位を独走するサンフレッチェ広島をホームに迎えた、15日の明治安田生命J1リーグ第22節でもイニエスタが放つ輝きがさらに増した。得点王ランキングのトップを快走する、FWパトリックに先制点を奪われた直後の17分。またしてもポドルスキの左足がうなりをあげる。

 やや強めの浮き球パスの標的はイニエスタ。ペナルティーエリアの左角付近で受けると動きを一度止め、小さなフェイントでMF川辺駿とDF和田拓也を左へ動かしてから右へ急旋回。小刻みなステップで右へさらに切れ込んでDF野上結貴をもかわし、わずかに生じさせたゴール左上へと通じるシュートコースへ、寸分の狂いもない強烈な一撃を突き刺した。

 16年間所属したバルセロナでは2010/11シーズンの8ゴールが最高であり、スペイン代表では126試合に出場して13ゴール。フィニッシャーではなく、稀代のプレーメイカーとして一時代を築きあげたイニエスタは、ジュビロ戦後にこんな言葉を残している。

「プレーする場所も違えば、選手たちも違ってくる。どんな状況でもベストのコンディションで、自分のベストのプレーを出せるようにやっていくなかで、これからはゲームの組み立てだけではなく、ゴールにおいてもチームを手伝えればと思っています」

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