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Jリーグ 6年前

イニエスタがもたらす絶大な影響力。選手たちが語る真実、神戸が手に入れた世界基準の羅針盤

text by 藤江直人 photo by Getty Images

目を疑った背番号8のプレー

 ともに無得点で迎えた15分。左サイドでボールをキープしたイニエスタから中央の藤田、さらにその右側にいた郷家へ流れるようにパスが回る。そして、右タッチライン際にいたポドルスキへボールを預けた郷家は、ポドルスキのさらに外側を目指してフリーランニングを始めた。

「ルーカスが中に入ってくる選手なので、そうなったときには僕が外に開いてバランスを取ろうと思っていました。ルーカスがボールをもてばパスが出てくるし、そうじゃなくても僕が囮になることで、相手のディフェンスラインを下げることができる。あの場面では僕が抜けることでイニエスタにコースを作り、そこへルーカスから上手くボールが入った。練習からできていた、狙い通りの形でした」

 意図的に郷家が明けたスペースへ侵入してきたイニエスタは、右サイドから中央へ向けてカットインしてきたポドルスキと連動するようにスピードアップ。ペナルティーアークの右側から中へ入り込んだあたりで、ポドルスキからシュートのように強烈なグラウンダーのパスを受けた。

 相手ゴールに背を向けた体勢で、背後にはジュビロのキャプテン、DF大井健太郎がついている。直後にイニエスタが魅せたプレーに、郷家は思わず目を疑った。

「練習から非常に上手いんですけど、それでもイニエスタのああいう形を見たことは一度もなかったので。公式戦の舞台でスルスルとペナルティーエリアの中へ入っていって、高いテクニックを発揮できるのは本当にすごいし、僕も学ばなきゃいけないと思いました」

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