サッカー人として進む道
やっぱり、人を巻き込む力があるよね。壮大なビジョンを実現する上での賛同者が本田の周りにはたくさんいるわけでしょう。そうしたパーソナリティは魅力的だよね。もちろん、心配にもなるよ。人に裏切られたりというのは往々にしてあるし、本田自身もそういう経験があるかもしれない。心配と言えば心配なんだけど、それを超えちゃっているんだろうね。どこまでできるかという挑戦をしているよね。
いずれプレーヤーではなくなるけど、 だからこそどこまでできるかと。加えて先々のビジョン、キャリアというのを作っているんだろうね。単なる金儲けなんかじゃなくて。金儲けではないよね、その色は見えない。だから食っていくためなんていうのはちゃんちゃらおかしくて。
食っていくお金は一生分あるかもしれないけど、そうじゃなくて、「それをなげうってもこういうことがやりたいんだ」というところに彼はいるよね。1人のサッカー人として、というのがあるんじゃないかな。自分がいることによって喜ばれるんだったら、それもやろう、これもやろうじゃないか、と。「俺がカンボジアの子どもたちを喜ばせることができるんだったら、やろうじゃないか」と。
思い、閃きというのがビジョンになっていったんだろうね。小さい時に、こういうものがあったらなというのを全部実現していっている印象だ。
▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。
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