本田にとってのモチベーションとは
イチ選手が、海外の国から頼まれることはない。日本に今までなかったよ。現実にそれを実現するということは、日本サッカー協会だって、「そうなのか」ってなるよね。アジアを強くして日本のレベルも上げていかないといけないというのを協会はやってきた。アジアが強くならないと、日本は世界に追いつけないと言われている。そのために日本も色々やっているんだけど、本田は自分でそれをやる。自分のマンパワーをそこで生かしている。あれだけ疲れている体に鞭を打って、サッカースクールをやって、子どもたちにボールをプレゼントして。やってきたことが生きているよね。
彼にとっては大変さもモチベーションなんだろうね。疲労になる前にモチベーションになる。カンボジアというこれからの国をどうやって強くしていくかということを考えたら、アジア全体の成長という日本サッカー協会のビジョンにハマるよね。指導者の派遣など、本田が主体となって協会と連係して何かできたり、そういうことにも繋がるかもしれない。
実質的な監督と言われていて、国際試合で指揮は執るのかもしれない。「本気なら任せるよ」と言われているみたいだし。でも監督をやりたいというイメージを本田が持っているかというと、僕には今は見えない。やることをやって、『じゃあこれからは監督業を全うする』となって、ライセンスを取ったりというのはあるかもしれないけど。それよりも今はまず、カンボジアを押し上げたい、押し上げて国のために何とかしたいという想いの方が強いんじゃないかな。『この国に俺がいることによって何かできることがある』と。それが『実質的な監督』ということなんじゃないかな。
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