シュートが狂わないというレベル
首位をキープするサンフレッチェ広島を相手に、アンドレス・イニエスタはいくつかの顔を見せている。
「場所も違えば選手たちも違って、もちろん状況は異なるんですけど、どんな状況でも自分のベストなコンディション、自分のベストのプレーを出せるようにやっています。これからは、もちろんゲームの組み立てだけではなくて、ゴールにおいてもチームを手伝えればなと思っています」
前節・ジュビロ磐田戦の後、美しいJ初ゴールを決めたイニエスタは得点への意欲を示した。そして、今節も果敢な姿勢を打ち出し、ゴールネットを揺らしている。
サンフレッチェ広島に先制ゴールを決められた2分後、天才がギアを上げる。ペナルティエリア手前でボールを持つと、大外に走り込んだ味方を囮に対峙する相手を剥がし、寄せてきたDFをものともせず右足を振り抜いた。前節終了後のミックスゾーンで語っていたとおり、「ゴールにおいてもチームを手伝う」結果となった。
川辺駿の注意がティーラトンに向いた瞬間に逆を取ったが、野上結貴の寄せのタイミングは決して遅れていなかった。実際、イニエスタが横にもう一つ運んだところでも体をつけている。しかし、神戸の背番号8はそれでも枠に蹴り込んだ。わずかでもシュートコースが見えれば、確実に射抜く。体を張って守ってくる相手が視界に入ってもフィニッシュの精度に狂いがない。それが彼のレベルなのだろう。
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