ペースを取り戻したレアルだったが…
だが、さすがはUEFAチャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げたレアルである。アトレティコの集中した守備に大苦戦しながらも、ペースを徐々に取り戻したのだ。
そして27分、プレシーズンマッチでも好調を維持していたベイルがリュカ・エルナンデスをスピードで振り切って右足でクロスを上げると、中央で待ち構えていたベンゼマが難しい体勢ながら頭でボールを捉え、ゴールネットを揺らした。
アトレティコにとっては痛い失点だった。それまでCBとSBの距離を一定に保ち、中盤底のロドリゴとサウール・ニゲスはCBとの間にあるスペースを完全に封じていた。さらにはサイドハーフのルマルとコケは最終ラインまで下がって守備をサポートするなど全員が規律を守って安定したブロックを形成していた。その中での失点は、さすがのアトレティコにもダメージが大きかったはずだ。
大打撃を与えたレアルはその後もボールをキープし、BBAを中心に攻撃を組み立てた。が、前半は互いに1点ずつを取り合い終了のホイッスルを迎えた。
後半は両者とも固い入りをみせ、大きなチャンスはあまり訪れなかった。しかし63分にペナルティエリア内でファンフランがハンドを取られ、レアルにPKが転がり込んできた。これを主将のS・ラモスが落ち着いて決め、ついに逆転。やはりレアルはレアルなのか、と思ったが、ここからチームは崩壊の道を歩み始めた。
79分、右サイドを崩したアンヘル・コレアがペナルティエリア内で待っていたD・コスタにパス。これを背番号19が流し込んで同点に追いついた。ここまでかなりペースを上げていたレアルは、この1点によって力がすべて抜けきってしまったかのようにスローペースへと追いやられた。
そして90分間で決着をつけられなかったレアルには明らかに疲労の色が見えていた。一方のアトレティコは延長戦でも変わらずハードワークをみせ、走力で白い巨人たちを上回ったのである。こうなれば得点が生まれるのも時間の問題だった。