苦しむ柏を救い出せるか
ここまで見てきたように、スウェーデンリーグ時代を最後にオルンガは周囲を満足させるようなインパクトを残せていない。とはいえ、柏と契約する前まではエバートン、ハダースフィールドといった英プレミアリーグのクラブが接触を試みたと言われている。国際的評価という点ではJリーグでプレーする外国人プレーヤーの中ではトップクラスといっていいだろう。
それでは、オルンガが柏で求められる役割について考えてみたい。本人も認めるように、強靭なフィジカルと高さを生かしたポストプレーが最大の持ち味だ。その特長は大男が揃うスウェーデンリーグでも際立っていた。前線の起点として機能すれば、相手DFラインの裏へ抜け出す動きを得意とする瀬川祐輔が持ち味を発揮できる場面が増えるなど、チームの攻撃の幅は広がるはずだ。
オフ・ザ・ボールの動き、点で合わせる技術にも注目だ。ペナルティエリア内で相手を欺いてフリーとなり、味方のクロスに反応する一連の動作はまさに点取り屋そのもの。柏の公式ホームページを通じて語った「自分の役割は点を取ること」という言葉通り、ポストプレーヤーだけではなくゴールゲッターとしての働きにも期待したい。前記したように自らを「スロースターター」と形容するが、すぐにでも結果を出すことが求められている。
「エンジニア」は、2009年シーズン以来となる降格に怯える太陽王の救世主となれるか。
(文:鈴木肇)
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