中国移籍で狂った歯車
初の国外挑戦となったスウェーデンでのシーズンは、成功に終わる。自らを「スロースターター」と表現するように、14試合ノーゴールが続いたが、8月にリーグ初得点を記録したのをきっかけにゴールを量産。終わってみれば27試合12得点という申し分のない成績を残し、同年のリーグ新人賞にノミネートされた。
スウェーデンでの活躍は母国でも大きな注目を集め、ユールゴーデンの関係者によると、オルンガが加入してからクラブのホームページにはケニアからのアクセス数が急増したという。
スウェーデンは欧州主要リーグへの中継地として知られており、数多くのアフリカ諸国出身選手がこの北欧の地で名を馳せた。先述したワニヤマ、彼の実兄でありインテルやパルマでプレーしたマクドナルド・マリガ(現無所属)も、ヘルシンボリで実力を磨いてからステップアップした。
2016年シーズン終了後、オルンガにはCSKAモスクワ、クラブ・ブルージュ、ガラタサライといったクラブが接触。先輩たちと同じ道を歩むかと思われたが、新天地は欧州ではなくアジアだった。2017年1月、オルンガは中国の貴州智誠と4年契約を交わす。本人は中国行きについて「キャリアのため」とコメントしたが、この選択には懐疑的な声が多かった。
周囲の不安は的中する。レギュラーポジションを確保できず、中国で残した成績は9試合2得点。この状況を打開するため、2017年9月にスペインのジローナにレンタル移籍する。
だがここでも思うような結果を残せなかった。今年1月のラス・パルマス戦でハットトリックを達成し、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領がフェイスブックで祝福メッセージを送るなど大きな注目を集めたが、リーガエスパニョーラでゴールネットを揺らしたのはこの試合のみ。14試合に出場したが、スターティングイレブンに名を連ねたのはわずか4試合にとどまった。