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Jリーグ 6年前

マリノスが失った金井貢史という太陽。万能性だけでない稀有な存在価値、仲間たちに託した道標

text by 舩木渉 photo by Getty Images

試合中に贈った「おめでとう」の一言

 後輩への面倒見の良さがよくわかるエピソードはまだまだある。経験の浅い若手に試合前から声をかけるのはもちろん、今季でプロ2年目にしてリーグ戦初出場から公式戦450分以上の出場が必要なプロA契約まで駆け上がった吉尾海夏は、「A契約になった時に一番最初に祝ってくれたのが貢史くんでした」と明かす。

「あと何分かでA契約という時に、貢史くんと試合に一緒に出ていて、プレーが切れた時にA契約に必要な条件を満たしていて、『おめでとう』と試合中に言われました。ピッチ内でもピッチ外でもいつも愛のあるイジりをしてくれたり、後輩思いでめっちゃいい人でした」

 もちろんマリノスの選手たちは、金井の移籍を惜しむだけでなく、「プロサッカー選手」として下した決断を十分に理解している。

 伊藤翔は「もちろん寂しい気持ちはあるけど、あいつの苦労や苦悩を僕らはわかっているし、あの決断をしたことに対しても、もちろん快く送り出せる。ここで育ってプロになった選手なわけだし、あいつ自身も横浜の街も好きだっただろうし、離れたくない気持ちはもちろんわかっていたけど、1人のプロサッカー選手として決断したと思う」と語る。

 喜田も「移籍するにあたって、貢史くんが何をどうやっているかも見てきたし、そこは僕自身も理解しているつもりではいるので、決断は尊重したいし、するべきだとも思う」と述べて先輩の旅立ちに近いを示した。

 名古屋の一員となった金井は、すぐ主力に定着し、さっそく結果も残した。11日に行われたJ1第21節の鹿島アントラーズ戦、左サイドバックで先発出場した“31番”は、見事なミドルシュートと、ゴール前のこぼれ球に鋭く詰めるFW顔負けの2ゴールでチームの勝利に大きく貢献。飯倉の言う「プレーは常に攻撃的で、守備者なんだけど守備者じゃない」という特徴を存分に発揮した。名古屋は金井の加入から3連勝で急激に調子を上げている。

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