「全員のハードワークでつかんだ勝利」
後半アディショナルタイムの最後に決まった、FWアデミウソンの劇的なゴールでもぎ取ったガンバ大阪の白星が呼び水となったのか。一夜明けた11日に行われた明治安田生命J1リーグ第21節の残り8試合で、前節の段階で15位以下にあえいでいた他の3チームも全勝した。
最下位の名古屋グランパスは鹿島アントラーズを力でねじ伏せ、16位のサガン鳥栖は復活した堅守で浦和レッズを零封。それぞれ今シーズン初の3連勝と2連勝をマークすれば、15位だった横浜F・マリノスは湘南ベルマーレとの神奈川ダービーを制して連敗を3で止めた。
新体制になって4試合目にして初めて、レヴィー・クルピ前監督体制から通算すると9試合ぶりとなる白星を手にしたガンバは結局、17位のまま変わらなかった。サガンが残留圏の15位へ抜け出した一方でV・ファーレン長崎が16位に、柏レイソルが14位にそれぞれ後退した。
13位のマリノスから最下位のグランパスまで、勝ち点4ポイント差に6チームがひしめき合う未曽有の大混戦となってきたJ1残留争い。しかも、台風12号の影響でマリノスとグランパスは消化試合がひとつ少ない。そのグランパスとガンバの勝ち点差は、わずか1ポイントしかない。
いつまでも勝利の余韻に浸っていられないことを、誰よりも理解していたのだろう。昨シーズンまで5年間ガンバを指揮した長谷川健太監督に率いられ、2位につける好調のFC東京を2‐1で撃破した10日の試合後の公式会見。ガンバの宮本恒靖監督は自らを律するように、静かな口調で前を見すえた。
「全員のハードワークでつかんだ勝利。サポーターにも勝利を届けたかったので、本当にいい結果だったと思いますけど、1試合しか勝っていないので。次へ向けてしっかりやっていかないといけない」