個の力に負けたアーセナル
90分通してアーセナルはシティの圧力に押し負けた。セルヒオ・アグエロ、ラヒーム・スターリング、ベルナルド・シルバの3人はうまくポジションを入れ替えながら相手ディフェンスをかく乱し、今季よりシティでプレーするリヤド・マフレズは繰り返しドリブルを仕掛け、サイドからの突破を試みた。この4名は、果敢なドリブルでアーセナルの最終ラインをうまく下げさせ、より多くのチャンスを生んだ。
アグエロとB・シルバは流れの中で2トップのような形になることもあり、ソクラティスとシュコドラン・ムスタフィの目の前でボールを引き出す役割を完遂した。スターリング、マフレズの両者は中へ外へと変芸自在な仕掛けで相手のサイドバックを深い位置へ追い込むなど、4人全員がアーセナルDF陣の脅威となったのだ。
先制点のシーンではスターリングがエクトル・ベジェリンとマテオ・ゲンドゥージを簡単に振り切り、見事なシュートを叩き込んだ。前半はシティの“個の力”が光り、その強度にアーセナルが後手を踏んだという内容であった。
後半に入ってもアーセナルには迷いが生じていた。前線のメスト・エジル、ピエール・エメリク=オーバメヤン、アーロン・ラムジーの連係はバラバラで、お互いの意図していたプレーが通じ合わない展開が多く見受けられた。そのミスを拾ったシティは素早いカウンターを仕掛けてGKペトル・チェフを急襲。
そして64分、左サイドを駆け上がったバンジャマン・メンディのクロスにB・シルバが反応。左足を振り抜き追加点を奪った。このシーンもメンディのドリブルに対しアーセナルの守備陣は誰も寄せることができなかったのだ。
クロスを上げる場面では、すでにペナルティマーク付近のスペースがガラ空きの状態となっており、B・シルバのマークに付いていたリヒトシュタイナーは完全にボールウォッチャーになっていた。その隙を見逃さなかった背番号20は空いたスペースへと流れ込み、メンディからのパスを呼び込んだ。リヒトシュタイナーは慌てて寄せに行ったが時はすでに遅かった。