「100%のモチベーションで」力強く残留宣言
もう覚悟は決まっている。「今季が終わるまではマリノスで、100%のモチベーションで戦っていきたい。マリノスのユニフォームを誇りに思っている。このユニフォームを着るということは、『みんな』を背負っていると思う。『みんな』というのは、このチームの素晴らしいサポーターたちのこと。みんなの気持ちを背負ってプレーしていきたい」と夏の移籍を封印し、今季中はマリノスに全ての力を捧げることをウーゴ・ヴィエイラは力強く宣言した。
長身ではなく、爆発的なスピードがあるわけでもなく、パワーが図抜けているわけでもないが、ペナルティエリア内でシュートをゴールネットに突き刺す能力はJ1でも最高峰。ゴール前での豊富な得点パターンを持つ典型的なボックスストライカーだ。強みさえ生かせれば、飢えた獣のごとくゴールを欲する彼ほど心強い得点源はない。
マリノスにとってウーゴ・ヴィエイラの得点能力は生命線であり、湘南戦で見せたようなクロスに合わせる形はチームとして磨いてきた攻撃の形でもあった。百戦錬磨のポルトガル人ストライカーは「決めきることがストライカーの仕事」と言い切る。
3連敗を脱して1勝しても、下位チームは軒並み調子を上げており勝ち点差は詰まっている。1試合でも落とせば、簡単に降格圏まで転落してしまう一切気の抜けない状況に変わりはない。だからこそ「ストライカーの仕事」の重要性が増す。
ファン・サポーターからの愛情を一身に受け、絆とマリノスの一員としての誇りをゴールという形で示す。それがウーゴ・ヴィエイラなりの「恩返し」になる。類い稀な得点能力を持つストライカーの爆発が、後半戦の巻き返しにおけるキーファクターとなるだろう。
(取材・文:舩木渉)
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