移籍オファーはあったが…
以前、同じようにゴールを決めて勝った試合の後、「ゴールを決めたあとにスタジアムの雰囲気が変わって、サポーターを煽っていたが、あの場面はどういう感情になるのか?」とウーゴ・ヴィエイラに尋ねたことがあった。
すると彼は「(盛り上がりは)サポーターからの愛情表現と捉えているし、感謝の気持ちは言葉にならない。あのように愛情を感じると嬉しい」と笑みをこぼした。ファンサービスでは誰よりも時間をかけて1人ひとり丁寧に対応し、コミュニケーションをとっているウーゴ・ヴィエイラらしいとも思ったが、両者の絆は今回の湘南戦でより深まったように見えた。
もちろん特殊な状況だったことも無関係ではない。この夏、ウーゴ・ヴィエイラには欧州への移籍の噂が浮上し、本人も複数のオファーの存在を認めていた。だが「僕が決められるのであればマリノスに残りたい」と残留を熱望し、トリコロールへの忠誠を誓った。
固い絆で結ばれたファン・サポーターにも「みんなは来たばかりの頃から僕のことを温かく受け入れてくれた。いつも挨拶をしてくれたり、暖かい声援をくれるので、それはすごく嬉しい。僕を必要としてくれているので、ここいると余計出ていきたくなくなる」と感謝を述べていた。
確かにこれまでは気分屋な一面もあれば、コンディション調整の甘さが目立ったこともあった。今季もカップ戦の重要な試合でチームを救うゴールを連発したかと思えば、リーグ戦ではハットトリックを決めた直後から7試合連続ノーゴールとなり、その間にスタメンを外される試合も増えた。
ほとんどの試合でボール支配率が60%を超え、相手よりも多くのチャンスを作れる環境下で、何度もビッグチャンスを外して頭を抱えた。それでもマリノスのエースストライカーである所以を、自らの力で証明したのが、ウーゴ・ヴィエイラである。