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レスターの“強さ”を消したマンU。指揮官の不安跳ね除ける勝利、そこで得た一番の収穫とは

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

持ち味を封じられたレスター

 後半に入っても状況はあまり変わらなかった。マーカス・ラッシュフォードに代え、ロメル・ルカクがピッチに入ったことで流れは少しホームチームに向きつつあったが、それでもレスターにボールを持たれる時間は長かった。

 しかし83分、マタのパスに反応したルーク・ショーがペナルティエリア内でボールを受けると寄せに来たDF一人を交わしシュートを流し込んだ。後半ATにヴァーディーのゴールによって1点差とされたが、ホームチームは逃げ切りに成功し、見事開幕戦白星発進を果たした。

 試合を振り返ると、マンチェスター・Uはこの試合でことごとくレスターの強さを消していたことがわかる。アウェイチームの最大の特徴であるカウンターを封じたのだ。

 データサイト『Who Scored』によると、ボール支配率は46%:54%、パス成功率も82%:83%とレスターが上回っている。シュート数もマンチェスター・Uの8本に対して13本放っている。しかし、シュートを放ったエリアを見てみると、レスターは62%をペナルティエリア外から。残りの38%を同内から放っている。対するホームチームはおよそ63%をペナルティエリア内から放っているというデータが表れているのだ。ボールを保持してはいたが、よりゴールに近いエリアでシュートを放てていたのは、マンチェスター・Uの方だった。

 レスターの強みがカウンターであることは間違いなく、その強度はプレミアリーグの中でも屈指だろう。しかし、マンチェスターUが最終ラインを深く保ったことで、それを阻止された。サイドからの効果的なクロスも少なく、リヤド・マフレズのような個人で局面を打開できる選手も多くはない。ショーのいる左サイドはやや脆かったが、そこを突くにも決定的なパスを送り込む人物は残念ながらいなかった。後半途中に出場したヴァーディーも、得意の裏へ抜けるプレーを封じられた。

 ボールを保持する展開は、レスターにとって予想外だったのかもしれない。まだ開幕戦であり、少なからずチャンスは作れていたため、シーズンを通して改善できる可能性もあるが、課題としてカウンター以外のオプションを持つという選択肢があっても面白いかもしれない。

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