ライセンスを満たしていない町田。それでも
この関東の小クラブの好調な戦いぶりについて何より驚くべき事実は、もし今季のJ2を2位以内で終えるという予想外の快挙を成し遂げたとしても、Jリーグのライセンス要件を満たしていない町田はJ1に昇格できないということだ。
そういった状況にもかかわらず、町田は驚異的な快進撃を演じてきた。シーズン終盤にかけて息切れすることがあったとしても、選手のモチベーション不足がその理由ではないことは間違いないだろう。
相馬監督の現役時代のポジションも影響してか、町田は毎年のように堅実で真面目な守備ユニットを構築してきた。だがさらなる発展を試みた今季は、守備面では平均的なレベルにとどまり、ここまで31失点を喫している。中位のモンテディオ山形や水戸ホーリーホックよりも多く、17位の栃木SCや18位の愛媛FCとも大差ない数字だ。
しかし攻撃面は対戦相手にとって大いに脅威となり、得点数はリーグ3位。16人の異なる選手がゴールネットを揺らし、計44得点を叩き出している。
最多得点者は8ゴールの中島裕希。FW陣では鈴木孝司と平戸太貴もそれぞれ5ゴールを挙げている。守備の選手たちも攻撃面で貢献しており、センターバックの藤井航大と深津康太はそれぞれ3得点。大谷尚輝も下坂晃城もゴールを記録している。
日曜日にはジェフ千葉をホームに迎える。Jリーグの創設メンバーであるチームを相手に、サッカーでは歴史に大きな意味などないということを見せつけたいと考えているはずだ。大事なのは今何ができるか、それだけだ。
(文:ショーン・キャロル)
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