目指すべきはフロンターレの完成度
飯倉は厳しい表情でチームに奮起を促した。指揮官も含め、暫定ながら15位という立ち位置を受け入れ、もう一度立ち上がらねばならない。
フロンターレは昨季王者で、チームとしての完成度が高かった。マリノス戦でも途中から選手の配置を変えたり、中村憲剛が噛み合わせの悪い中盤の状況を改善するためにポジションを微調整したり、勝つための策を打ち出し続けた。
「相手がどういう形で、どういうシステムで、どこが嫌で、相手が本当に隠しているのはどこなのかを、1人や2人ではなくて、11人が感じられればいい」と37歳の重鎮は語るが、チームを作っている最中のマリノスにここまでを求めるのは難しい。
ただ、自分たちの確固たる信念や、ブレない戦い方がある中でも、「相手が嫌がることをやり続ける」というのは挑戦者として、勝つために持ち続けるべき姿勢であることに間違いない。そして、マリノスにとってフロンターレのような完成度は目指すべき一つの指針になるだろう。
3連敗で降格圏間近というネガティブになりがちな局面でも、顔を上げて状況を打開するために前向きであり続けることが重要になる。ここを乗り越えられるかどうかで、マリノスが進むべき道がどこにあるのかがわかってくる。まさに正念場だ。もう後戻りはできないが、未来はどんな形にも変えられる。
(取材・文:舩木渉)
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