変化が必要だったアーセナル
「22年は長すぎた」
アーセナルのアーセン・ヴェンゲル前監督が、自らの在任期間を振り返った。強化、経営、健康管理など、クラブのすべてに携わり、2003/04シーズンには前人未到の無敗優勝を成し遂げた名将も、そのサイクルには少なからぬ疑問を抱いていた。
たしかに、異例の長さではある。近年は数ヶ月、いやいや辛抱強くないオーナーになると、わずか2~3試合で監督を解雇するケースもある。選手の顔と名前が一致しないまま追われるのだから、たまったものではない。
しかし、長きにわたって全権を管理していくと、変化よりも安定・維持を優先するようになるのだろう。晩年のヴェンゲルは金銭面で激変する環境に表面上は抗い、かといって効果的な策を練り上げもせず、時間だけを費やしていた。
やはりアーセナルには変化が必要だった──。
新監督はウナイ・エメリである。今年で47歳。68歳で去ったヴェンゲルより21歳も若い。当然、選手との距離は近くなり、意思の疎通もスムーズになるはずだ。
また、副官に10年以上もエメリを支えてきたファン・カルロス・カルセドを招聘し、GKコーチのハビ・ガルシアもパリ・サンジェルマン(PSG)、セビージャで同じ釜の飯を食った、いわゆる〈ファミリー〉である。ヴェンゲル体制をよく知るスティーブ・ボールドがアシスタントコーチとして残留したものの、新生アーセナルの風通しはよさそうだ。
【次ページ】エメリ新監督が好む戦術とは?