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ソン・フンミンのアジア大会派遣、“条件付き”でトッテナム了承。兵役免除のラストチャンスに

text by 編集部 photo by Getty Images

ソン・フンミン
韓国代表のソン・フンミン【写真:Getty Images】

 トッテナムに所属する26歳の韓国代表FWソン・フンミンが、兵役免除のラストチャンスとなるアジア大会に参加可能となった。1日に米メディア『ESPN』が報じている。

 同メディアによると、“条件付き”でトッテナムがソン・フンミンのアジア大会派遣を認めたという。その条件とは、11月に予定されている国際親善試合と、来年1月に行われるアジアカップのフィリピン戦、キルギスタン戦を欠場するというもの。クラブでの活動に専念してもらうのが狙いだ。

 アジア大会は国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際Aマッチでないため、クラブ側にアジア大会に参加される義務はない。ただ、今年7月にソン・フンミンと2023年6月までの5年契約を結んだため、トッテナムとしても同選手の兵役免除は重要な課題となっている。

 8月10日から9月1日までインドネシアで開催されるアジア大会。まず、ソン・フンミンは8月11日のニューカッスル戦に臨んだ後すぐにアジア大会に参加中の韓国代表に合流する。8月12日のバーレーン戦は欠場することになるが、次のフィリピン戦、マレーシア戦には出場する予定だ。韓国代表として大会に参加している間、フラム戦やマンチェスター・ユナイテッド戦などを欠場する。それでもアジア大会に専念しなければならない理由がソン・フンミンにはある。

 韓国籍の19歳から32歳の男性は、約2年間の兵役に就かねばならない。年齢だけ見れば26歳のソン・フンミンにとって大きな問題でないように思えるが、サッカー選手となれば事情は全く異なる。韓国軍には国内のプロリーグ(Kリーグ)に参戦しているクラブがあり、そこでプレーするためには27歳までに入隊しなければならないのである。

 しかも、軍隊クラブでプレーするためには、入隊の前年、つまり26歳の年は必ずKリーグでプレーしていなければならない。もちろん一般の部隊に入隊する道もあるが、そうなるとサッカー選手としての未来は絶たれてしまう。となれば、いかに兵役免除を勝ち取るかがカギになる。

 兵役免除の条件はいくつかある。まずは2011年に受けた膝の軟骨除去手術の影響で兵役を免除されたGKキム・ジンヒョン(現セレッソ大阪)のように入隊前の身体検査で不適格と診断されるような大きな怪我を負う、もしくは負っていたか。

 もう1つは、27歳で10年間のモナコ居住権を手にしたFWパク・チュヨンのように、海外に住みながら永住権を獲得したり、帰化して国籍を変更したりすることで、入隊を最大限に延期する方法もある。労働ビザではなく永住権を持って海外に滞在したまま36歳を超えると入隊の年齢制限に引っかかるため、兵役は自動免除となる。

 だが、これらの手段はソン・フンミンにとって現実的とは言えない。やはり最後に残り、最も現実的な兵役免除の方法は国際大会における好成績なのである。オリンピックではメダル獲得、アジア大会では優勝が条件になる。2002年日韓ワールドカップの韓国代表メンバーは4位入賞で兵役免除となったが、アジアカップではどんな成績を残そうと兵役は免除されない。

 軍隊クラブでプレーするために入隊前年をKリーグで過ごさねばならないことを考えると、ソン・フンミンが兵役を回避するためのラストチャンスは、今年8月から9月上旬にかけてインドネシアで開催されるアジア大会にオーバーエイジ選手として出場しての金メダル獲得ということになる。

 2014年の仁川アジア競技大会で優勝した韓国代表にはキム・スンギュ(現ヴィッセル神戸)やパク・チュホ(現蔚山現代)、イ・ジュヨン(現ジェフユナイテッド千葉)、キム・ミンヒョク(現サガン鳥栖)、ユン・イルロク(現横浜F・マリノス)、キム・シヌク(現全北現代)らがおり、彼らは皆兵役免除となっている。特にパク・チュホは27歳でラストチャンスにかけて出場していた。

【了】

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