フランスをW杯初優勝に導いたエメ・ジャケ氏の言葉
日本のサッカーはやっぱりこれだな、というのは今回のワールドカップで確信できたよ。進むべき道はこれだ、と。だけど足りない。あれだけ戦えるんだけど、全然足りないんだと。それがわかった大会でもあったね。あのサッカーから何を伸ばしていけばいいのかというのを、日本サッカー界全体で考えていかないといけない。
育成年代からトレーニングの仕方や意識、伝え方なども、指導者の中で少しずつ変わっていくんじゃないかな。来年1月には2年に1回のカンファレンスが開かれる。ある資格より上の指導者が、800人から1000人集まるんだ。二泊三日の日程で、世界的な指導者に講演してもらい、世界の流れを学ぶ。小さい時からこういうことをしないといけないとか、そういう場で指導者が共有することでサッカーというゲームの伝え方も変わってくるだろうね。
ロシアでベルギーを相手に惜しい戦いをして、4年後はベスト8に入ってもらいたいと思っている。一方で、長い目でみなければいけないこともある。98年大会の王者であるフランスが、今回20年ぶりに優勝した。1回優勝している国でさえ苦労した時期があった。以前、98年大会のフランスの監督だったエメ・ジャケさんにインタビューしたことがある。
「我々は30年かけてワールドカップの優勝を獲った」と彼は言っていた。そこからまた20年かけて今回優勝したわけでしょ。日本は今回でワールドカップ21試合目。その中で何一つ同じゲームはなくて、今大会も相手は10人だったけど南米のチームに勝てて、セネガルに2回追いついて、フェアプレーポイントで決勝トーナメントに行った。そして、ベルギーにあれだけのゲームができたのも事実だから。
真面目にちゃんと考えて成長していければ、ベスト8に入るチャンスは来るはずだよ。その中で色々なものが整ってきた時に、あと20年後とかには、日本はたまにではなく常にベスト8に入れるという評価を受ける国になるんじゃないかな。
▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。
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