“波がない天才”とプレーすることの意味
湘南戦からスタメンを6人入れ替えた神戸。イニエスタはもちろん、三田啓貴や郷家など、よりボールワークに長けた選手が名を連ねた。攻撃のバリエーションで前節と違う色も見せた。そして、若手の郷家と増山が活躍したことはチームにとってポジティブな要素だろう。
イニエスタも味方の特徴を把握した上でプレーしており、「これからもさらにチーム、選手一人ひとりに適応して、周りの仲間たちも自分に適応していく中でどんどん良くなっていくだろうと感じています」と今後への期待を口にしている。
攻撃の組み立てや加速するタイミングが整理され、イニエスタもそんなチームの中で持ち味を発揮している。対戦相手の警戒が弱まることはないだろうが、彼は歯車にもなれる存在だ。その瞬間はイニエスタが相手の脅威になるプレーをしていなくても、振り返るとイニエスタに操られていたという状況も今後、発生していくだろう
吉田孝行監督はイニエスタについて「彼はいつも淡々と自分らしいプレーをしてくれますし、波もない。やはり世界一流」と賛辞を送る。波がない――つまりイニエスタはいつでもワールドクラスのパフォーマンスを発揮できるということ。そんな名手と共にプレーするだけでなく、考えを聞くだけでも得られるものがあるだろう。隣にいるだけで十分かもしれない。神戸はチームとして、イニエスタを触媒にさらなる進化を遂げるのではないか。
「最初の勝利を得られたことをとても喜んでいます。個人的にも練習を重ねていく中で、コンディションもどんどん上がっていっているので、いいフィーリングでやれています。ここで初めての勝利を体験することができたので、本当に特別な日になると考えています」
天才は微笑みながら振り返った。イニエスタは今後、一時帰国し8月頭に再来日するという。次にJ1のピッチに立った時は、どんなプレーを見せてくれるのだろうか。
(取材・文:青木務)
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