ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督【写真:Getty Images】
サッカー日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ元監督が田嶋幸三・日本サッカー協会(JFA)会長ならびにJFAを相手どり、慰謝料1円と謝罪広告などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が7月27日、東京地方裁判所で開かれた。裁判長は市川多美子氏。
口頭弁論では、ハリルホジッチ氏の担当弁護士があらためて訴状の要旨を説明。その後、今後の日程を原告と被告で確認し、第2回は9月25日16時30分より行われることが決定した。ハリルホジッチ氏はスケジュールが合わず出廷しなかったが、今後は状況次第で来日する可能性があるという。
日本代表監督だったハリルホジッチ氏は、田嶋会長から突然契約解除を告げられ、4月7日付けで解任となった。具体的な解除理由の開示を繰り返しJFAに求めていたが事実上のゼロ回答だったことから訴訟に踏み切った。
ハリルホジッチ氏側は、田嶋会長が解任後の記者会見での発言を問題視。元監督があたかもコミュニケーション能力に問題があるかのような印象を世間に与えたのは悪質であり、社会的評価を下げ、名誉毀損にあたると主張。
協会側は、そもそも今回の仲裁に関する管轄権は東京地裁にはなく国際サッカー連盟(FIFA)にあると主張。また、田嶋会長の発言は名誉毀損に当たらず、その後ハリルホジッチ氏に新たな監督就任のオファーがあったことから社会的評価も下げていないと主張した。請求の却下を求めており、全面的に争う姿勢。この却下についてハリルホジッチ氏側は棄却も含まれるものと解釈している。
ハリルホジッチ氏は「日本が大好きだ」と繰り返し述べていると担当弁護士は明かした。「大好きな日本で真実を明らかにしたい」との意向があるという。
奇しくも口頭弁論の前日の26日、JFAは森保一氏の新日本代表監督就任を発表、ならびにロシアワールドカップの成果やこれまでの取り組みなどの経緯報告を行った。だが、そこでハリルホジッチ氏の解任について語られることはなかった。
第2回以降の口頭弁論は非公開で行われる。
(取材・文:植田路生)
【了】