アジアカップの日本代表はフレッシュな顔ぶれに?
アルベルト・ザッケローニ氏が率いた2011年のアジアカップは、前年の南アフリカワールドカップでベスト16に進出した岡田ジャパンからやはり13人が入れ替わり、平均年齢は27.8歳から25.0歳と、2.8歳も若くなった。実は当時19歳だった酒井高徳と23歳だった槙野智章がメンバーに選ばれながら辞退しており、彼らが順調に参加していれば平均年齢はさらに下がっていたはずだ。
この段階で大幅な世代交代を図った大きな理由は、早い段階から洗練された戦術を植えつけチームのベースを作り上げるため。イタリア人監督の思い切った決断は優勝という結果をもたらし、彼らの多くがそのままブラジルW杯まで日本代表を支えることになった。それは早期にチームの完成度を高めた一方で「メンバー固定」という傾向を生み、本大会に向けた競争力の部分では影を落とすことになったことも無視できない。
2011年のアジアカップ時点で五輪世代だったのはGKの権田修一と飛び級で北京五輪に出場していた香川真司の2人。怪我で辞退した酒井高徳を加えても3人だが、この世代の中心を担う実力を備えていた山田直輝や米本拓司といった有望なタレントの負傷による長期離脱が響いたことも否めない。それでも岡田ジャパンの守備の要だった田中マルクス闘莉王と中澤佑二を選ばず、22歳の吉田麻也を抜てきしたザッケローニ氏の英断が現在にもつながっていることは意義深い。
そしてブラジルワールドカップの敗退を受けて日本代表監督に就任したハビエル・アギーレ氏は、親善試合でのトライ&エラーを経て、ワールドカップから10人のメンバーを入れ替えてアジアカップに臨んだ。ただ、平均年齢は26.8歳から26.7歳とほとんど変わらなかったのが特徴だ。これはアギーレ氏がその時点のベストメンバーで公式戦に臨む方針であったことに加え、前任者のメンバー固定によりあまりテストされなかった中堅選手を試して、自分の目で評価するという方針も表れていた。
これまでの傾向から見れば、ロシアワールドカップのメンバーから半年後のアジアカップまでに少なくとも半数近くの入れ替えが想定される。ロシアで”不発”だったリオデジャネイロ五輪世代を中心とした中堅世代をどれだけチームに組み込んで、今後のベースにしていけるかが、大会の成績はもちろん、その後の強化にも大きく関わってくるはずだ。
さらにアジアカップの時点でA代表に割って入る東京五輪世代が台頭してくるかどうか。森保監督のプランニング、スタッフのサポート体制に絡めて注目するべきポイントになる。
(取材・文:河治良幸)
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