主力が大量に流出。新たな攻撃の核を見つけなければ…
そんな中でも、一番大きな問題になっているのが、マーキー・プレーヤー(筆者注:サラリーキャップ制の枠外で獲得する特別枠の契約選手)の流出だ。前述のシドニーFCのボボは、在籍2シーズンで57試合に出場し42得点という高い得点率を記録する大活躍だったが、クラブ側が残留を熱望するも、彼自身が長くプレーしていたトルコへの復帰を止めることはできなかった。そして、シドニーFCと並ぶこの選手流出の最大の当事者が、今まさに本田と交渉を進めているであろうメルボルン・ビクトリーなのだ。
先月、サンフレッチェ広島が、メルボルン・ビクトリーからFWベサルト・ベリーシャを獲得。Aリーグの得点王に2度輝いたリーグ史上最も成功した外国人プレーヤーの1人が、Jリーグを次なる挑戦の舞台に選んだ。そんな彼も、豪州最初の所属先だったブリスベン・ロアでは、チームメイトにAリーグ史上最高の選手とも称されるドイツ人MFトーマス・ブロイヒがいたことで、マーキーのステータスでの契約ではなかった。
しかし、2016年にメルボルン・ビクトリーにマーキー・プレーヤーとして移籍し、チーム最大の得点源として活躍。当然、来る2018/19シーズンもチームとしては残留を強く望んでいた。一方、ベリーシャ本人は、5月の2017/18シーズンのグランドファイナルを制した後に「Aリーグで他に私が勝ち取れるものはあるのか」と公言するなど移籍願望を隠しはしなかった。そして、ビクトリーの慰留も虚しく、“Aリーグ最高のストライカー”は、新天地広島へと旅立っていった。
やや、蛇足気味だが、そのベリーシャ。J1再開後2試合目だった22日の名古屋グランパス戦にベンチ入りするも、まだJリーグデビューは果たせていない。この選手、Aリーグ在籍時代はかなり激しやすい気性で様々な騒ぎを引き起こしてきたが、ここ一番での決定力は他の追随を許さなかった。
J1で首位を快調に走るチームで思うように出番を得られないのかもしれないが、限られた出場時間でも結果を出す力は十分にある。逆に限られた機会で気負うが余り、その激しい気性が問題になりやしないかとの不安も少なからずある。
メルボルン・ビクトリーの選手流出は、ベリーシャだけには留まらず、昨季のレギュラークラスが次々とチームを去った。ファンからも「来季は一体どうなる」と不安と諦めの声が聞こえてくる。まだまだ、来季のチームの作っている段階ではあるが、補強ポイントはベリーシャを失った前線、そしてこのままだと豪州代表MFジェームス・トロイージへの負担が大きくなり過ぎる中盤の攻撃的な位置である。得意とする左右のサイドからの速い展開を担う両翼など多岐にわたる。
そこで、本田なのだ。マーキー・プレーヤー枠も外国人枠も空いている。攻撃面での補強ポイントのいずれのポジションも対応が可能。キープ力のある本田を最前線に据え、左右のウィングの展開を生かす。または、本田と併せて得点力のあるFWを獲得して、トロイージをウィングポジションで使い、本田に中盤の全権を委ねる。