結果のみで評価されるポジションでキャリアを築いてきた
また、前線の組み合わせによってトーレスの役割も変わるだろう。この夏に期限付き移籍から復帰した豊田陽平と組めば、DFとのバトルは彼に任せ、トーレスは豊田からのパスを引き出す動きや、こぼれ球を狙うことに注力できるのではないか。豊田も駆け引きの上手い選手のため、役割が逆になっても威力を発揮しそうだ。
仙台戦では小野とのパス交換からシュートに持ち込んでいるが、小野とトーレスのコンビも熟成させる価値がある。さらに東京五輪世代の田川亨介には躍動感とアグレッシブさがあり、裏に抜け出すプレーなどトーレスから学べることは多いだろう。そして、受け手と出し手の関係でいえば、キックに定評がある原川力との連係が深まればチャンスが増えると思われる。
試合には敗れており、鳥栖は勝ち点を伸ばすことができなかった。現在17位と、降格圏脱出のためには1ポイントでも多く稼がなければならない。トーレスも早急にチームにフィットし、高いパフォーマンスを発揮する必要がある。コンディションが上がらなければ出場機会は得られないだろう。
とはいえ、仙台戦でのプレーを見る限り期待感のほうが大きい。トーレス自身、ストライカーという結果のみで評価されるポジションでキャリアを築いてきた選手である。チームの勝利のために全身全霊を尽くすはずだ。
(文:青木務)
【了】