ドイツ代表引退を表明したメスト・エジル【写真:Getty Images】
今月22日にツイッターで発表したMFメスト・エジルのドイツ代表引退表明はドイツ国内で大きな話題となっているようだ。
エジルはロシアワールドカップ(W杯)大会前に同僚でトルコ系のMFイルカイ・ギュンドアンとトルコのレジェップ・タイイップ・エルゴアン大統領に面会した。またその時に撮った写真がメディアに広まり政治利用されたとして大きな問題になっていた。さらにドイツはW杯で史上初のグループリーグ敗退となりエジルはその戦犯として大きな批判も受けていた。
そんなエジルは自らのツイッターで「人種差別や軽べつを受けているという感情がある限り、これ以上ドイツの代表レベルでプレーすることはない」と代表引退を表明した。
この発言を受けドイツ代表としてW杯で一緒に戦ったDFジェローム・ボアテングは「君は私の友達だ、ブラザー」とツイートし、元ドイツ代表で現在はヴィッセル神戸でプレーしているFWルーカス・ポドルスキは「我々は一緒に素晴らしい瞬間を経験してきた。いつかまた一緒に笑える時が来るだろう」と労をねぎらった。
一方でバイエルン・ミュンヘンの会長を務めるウリ・ヘーネス氏は「彼はここ数年あまり良いプレーが出来ていなかった。彼が1対1で勝利したのは2014年のワールドカップだ。エジルはここ数年間、代表チームで何も成し遂げていない」と批判的なコメントしている。
この件に関してはドイツのアンゲラ・メルケル首相が「メスト・エジルは代表のために多くの功績を残してくれたサッカー選手。今回の決断を尊重します」と広報を通じ意見を発表し、トルコのアブドゥルハミト・ギュル法務大臣も「ドイツサッカー連盟のラインハルト・グリデル会長はトルコとドイツの統合の歴史を切り裂いた」とコメントするなどスポーツを超えた出来事になってきている。
しばらくの間はエジル電撃引退の余波は続きそうだ。
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