神戸MFイニエスタ(左)とJリーグで最初にユニフォームを交換したのは湘南DFアンドレ・バイア(右)【写真:Getty Images】
ヴィッセル神戸に所属している元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが、22日にJリーグデビューを飾った。
神戸のホームで行われたJ1第17節の湘南ベルマーレ戦に、59分から途中出場。試合は湘南が3-0で制したが、会場に集まった2万6146人の観客からはボールに触れるたびに大歓声があがり、普段のおよそ5倍となる60社148人のメディアもスーパースターの一挙手一投足を見届けるために集結した。
イニエスタの試合後の取材は、メディアの数が多いこともあって、特例として記者会見方式となった。約11分間にわたって様々な質問に答えた後、会場をあとにする元スペイン代表MFの左手には湘南の「4番」のユニフォームがあった。
湘南の「4番」は、アンドレ・バイアが着用している。神戸戦はベンチ入りするも出場機会のなかったブラジル人DFが、イニエスタにとってJリーグでのユニフォーム交換“第1号”となった。
スタジアムから出てきたアンドレ・バイアを直撃し、「イニエスタとユニフォームを交換しましたか?」と尋ねると「そうそう、彼に頼んだら交換してくれたんだ」と笑顔を見せた。直接の面識はないというが、「最初に僕からウェリントンに頼んで、彼がイニエスタと話したら交換してくれた」と明かしてくれた。
ウェリントンはかつて湘南でもプレーしたが、アンドレ・バイアと在籍時期は被っていない。前者が2013年から2014年、後者は2015年から湘南に所属しており、昨年J2で対戦経験があるのみだが、同じブラジル人であり日本でのプレーが長いことから仲がいいようだ。
アンドレ・バイアは「ウェリントンに頼んで聞いてもらったら、イニエスタは『いいよ、交換できる。もしよければ君のもちょうだい』と言ってきたので、『僕のシャツ? もちろん!』ということで交換したんだ」と、実際のやり取りについても教えてくれた。脇に抱えたバッグにはもちろんイニエスタのユニフォームが入っており、周りにいたチームメイトに冷やかされて笑顔を見せるなどご機嫌な様子だった。
さらに「イニエスタは特別な選手だ。素晴らしいクオリティを備えている。彼がJリーグに来たことは、日本サッカーだけでなく他のところにも影響があると思う」と、アンドレ・バイアは1歳下の元スペイン代表の神戸加入が持つ意味についても語っていた。今回は出場のチャンスを得られなかったが、来月19日に再戦の予定となっている。次回は2人の直接対決がピッチ上で見られるかもしれない。
(取材・文:舩木渉)
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