天皇杯優勝に「感極まった」
(優勝が決まったときは)僕もピッチに駆けつけました。でも、最後のほうでしたね。メンバー入りしていなかった選手もスタンバイしながら見ていたので、全員がピッチに入ったのを見届けてから僕も輪の中に加わりました。
やっぱりホペイロですから、試合が終わっても選手の用具に不備がないように、そこは最後まで気にしていました。そしたらナラさんが感情むき出しになっていて、僕も同世代ということもあって、そこで初めて感極まりましたね。「これで終わりなんだな」っていう。それでも感傷に浸る間もなく、今度は軽く祝杯を挙げるためにシャンパンの準備をした記憶があります。
そうそう、国立を出る前にマネージャーと話をして、スタンドに残っていたサポーターにボールをプレゼントしましたね。もう、僕らは使わないですからね。15個くらいは投げ込んだように思います。
サポーターの皆さんも、僕らスタッフの名前を覚えていてくれていて「山根、これからどうするの?」って声をかけられました。その後、祝勝会にも行きましたが、それもビールかけしたあとのジャージやユニフォームを回収するためです。みんな帰ったあとにクラブハウスに戻って、その日の夜はずっと洗濯機を回していました。もちろん、ひとりでしたよ(苦笑)。
年が明けてからも、選手たちがクラブハウスに私物を取りに来ていましたね。僕も1月の後ろのほうまでは、毎日通って用具の片付けをしていました。ドリンクなんかは残しておきましたけど、フリューゲルスのロゴが入ったものは全部持ち帰って、僕らがいた痕跡は残さないようにしました。
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