Aリーグが「ヒュンダイ」から「HONDA」に!?
ただ、1つ確実なのは「ゲスト・マーキー」候補には色々な名前が取り沙汰されてきたが、本田の名前がターゲット・リストの最上位にあり続けるということ。現地のファンは、本田の移籍が噂されるたびに、「ヒュンダイ(現代自動車)が許さないよ」「来年から、ホンダAリーグになるのか」と、実現の可能性を低く見積もってネタにしてきた。
それは、Aリーグの冠スポンサーが豪州国内で高いシェアを誇る韓国の現代自動車であることから、「HONDA」という同業他社の名前が露出することをメインスポンサーが嫌うのでは、という根拠のないものに過ぎない。
FFAには、「Shinji Ono」という成功体験がある。国際経験で日本代表の先達・小野伸二に伍し、そのマーケティング上の影響力はより高いと思われる本田が加入することで、メルボルン・ビクトリーはクラブとして大きなマーケテイング効果を見込むはずだ。
国内外でのシャツ売上、本田見たさの観客動員増加、そして何よりも一番に期待するのは大口の日系企業スポンサーの獲得だろう。次の機会に詳しく論評するが、メルボルン・ビクトリーは戦力的にもどうしても目に見えた強化が必要で、その点でも本田のクオリティとプロフェッショナルリズムは、加入直後からチームに大きなプラスの作用をもたらすのは疑いようがない。
ほぼ「相思相愛」ともいえる状況下での交渉のように見えるが、冒頭にも書いたように、本当に決定するまではまったく気が抜けない。現地の様々な人の意見を求めたり、自分の感覚的なものを含めての個人としての予想は“More than likely”(十分に起こり得る)に留めておきたい。
豪州番を自負してずっと豪州フットボール事情を発信し続けてきた身にしてみれば、小野伸二の来豪決定の時と同等の興奮を既に感じている。でも、糠喜びはしたくない。本田圭佑という大物が、“ダウンアンダー”と称される南半球の果ての大陸国家でプレーをすることはあるのか……あまり先走らず、情報収集を怠らず、事の推移をじっくり見守っていくことにしたい。
(取材・文:植松久隆)
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