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本田圭佑 6年前

本田圭佑、豪州移籍報道の深層。Aリーグが熱望するスター選手獲得、両者の思惑も一致

text by 植松久隆 photo by Getty Images

本田を「ゲスト・マーキー」で迎え入れる?

本田圭佑
本田圭佑は「スター選手」としてオーストラリアに渡るのか【写真:Getty Images】

 しかし、その目論見通りにMLS移籍は実現しなかった。先のワールドカップでも一定の存在感を見せるも、「絶対的存在」であった過去2大会とは異なり、彼自身の市場価値を再評価させることはかなわず、大会後も彼を取り巻く状況に大きな変化は見られなかった。

 そこであらためて「現役を続けるならば、次はどこか」と手持ちのカードを卓上に並べてみたとき、有力候補として再浮上したのが、豪州のAリーグ、そのビッグクラブたるメルボルン・ビクトリーだったのか。

 まだ、他の様々な選択肢を考慮できたワールドカップ前と違って、現在の本田には移籍先の選択肢はさほど多くないのかもしれない。それでも、本田サイドが多少の“都落ち”となるリスクを冒してまで、中東、中国に行って多額の年棒を得るとも考えにくい。そして、本田自ら「凱旋帰国」という選択肢は明確に否定している。こういった取捨選択のなかで、「過不足のないほど良い選択肢」として浮かび上がったのが豪州なのだろう。

 この契約交渉、一般的な選手の移籍交渉とは異なる特殊ケースとなることは知ってもらいたいので、少し長くなるが説明しておく。

 今回の交渉は、本田サイドとメルボルン・ビクトリーだけではなく、Aリーグの運営者たる豪州サッカー連盟(FFA)も関係してくる。というのも、Aリーグにはサラリーキャップ制度があって、その制度の範囲内で本田クラスの選手の年棒は到底賄えない。自動的に本田獲得はその枠外である「マーキー」という特別枠での契約となる。

 しかも、経営規模が欧州などと比ぶべくもない豪州のクラブ単独では、本田サイドが要求する額を満たすのは難しい。そこで残された方策はただ一つ。大物選手の一本釣りのために作られた「ゲスト・マーキー」枠の活用だ。

「ゲスト・マーキー」枠での選手獲得には、FFAがその対象選手を「リーグ全体の利益に貢献できるスター選手」と認める必要があり、それが認められた選手獲得に際しては、FFAが一定額の獲得資金を肩代わりする。豪州標準からすれば強気の本田サイドの金銭的条件を満たすには、この枠での獲得、すなわちFFAの支援が大前提となるのだ。

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