やはり大きかった優勝経験者、デシャン監督の存在
実は受け身なフランス男子を象徴していた選手たちには、このプレースタイルは想像以上にしっくりきていたのかもしれない。
とどのつまりは、そういった面も含めて(たぶん)、選手達の素質をデシャン監督が十二分に生かすことができたということだ。それがレ・ブルーの、最大の勝因なのである。
そしてもう一つ、監督自身がW杯優勝経験者だったことは、彼の発言に現実味を持たせる上でも間違いなく大きなプラスだった。優勝後に彼は言った。
「君たちのこれからの一生は、これまでとは同じではない。なぜなら、君たちは、世界チャンピオンだからだ」
実際にそれを知っている者だけが言えるセリフである。
最後に、ベン・アルファも懸念していた、今後のプレースタイルの方向性だが、エムバペはもちろんのこと、今回はより守備的なルーカス・エルナンデスとバンジャマン・パバールが採用されたが、バンジャマン・メンディ、ジブリル・シディベら攻撃的サイドバック、中盤でクリエイティブな展開ができるトマ・ルマルら、今大会では戦術にフィットせずにベンチ要員になった有能な選手たちが控えていることを見ても、秋から始まるユーロの予選では、また違ったレ・ブルーの顔が見られる気がしている。
ただ、今大会のチームで育まれた、ここ近年にはなかったレベルの団結力、仲間意識は、継続されていって欲しい。
優勝おめでとう!
(文:小川由紀子【フランス】)
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